レース産業の発展の歴史について考える秋…

読書の秋ですね。
先日、意外にもレースの歴史に関して多くのページで語られている、イギリス人作家の書いた伝書を読みました。
思ってもみなかったページからイギリスやフランスのレース、織物産業の当時を知ることができ、とっても得した気分になりました。

拝読したのは「自助論(サミュエル スマイルズ著)」。
19世紀に出版され、日本でも何度も翻訳された古典的な名著です。
数々の名言がちりばめられているという事で、一度読んでみようかな?と気軽にページを開き始めました。
この時代のヨーロッパの人々の暮らしや風潮を知りたいという個人的な興味が大半です。

ところが読み進めるにつれ、産業が飛躍的に発展する時代の発明家の紹介の中で、多くのレースや織物にかかわる機械の発明の歴史明暗が事細かに記録されていました。

それまで手工業で生産されていたボビンレースや絹織物、編みレースなどですが、この時代に多くの人々の研究と開発によってマシンで生産できるようになってきたというお話です。
当時、このような手工業によって生計を立てていた職人や労働者の多くは機械化されると職を失うことになる不安があり、国や政府までもが労働者の側に立ち機械化に反対したという歴史があると知り驚きました。

過激な人々は徒党を組んで機械を叩き壊したり焼き払ったり、工場の持ち主を襲撃したり…と穏やかでない暴挙に出た時代が何年も続いたという記録もあります。

しかし、やはり美しく素晴らしいレースや織物を安価にたくさんの人々に供給できるとあり、機械化は進んでいったわけです

「歴史」と一言で言ってしまえばそれまでで、自分が生まれる100年以上前の話ではありますが、この時代をまたぐレースや布地をたくさん見ている私にとってはものすごく身近な話題に出会った瞬間でした。
そのころ職を失う不安を抱えていたレース職人さんたちは、21世紀になり丁寧な手仕事のレースたちがこんなにも愛され、海を渡り大切にされているとは当時夢にも思わなかったことでしょう…
時の流れって不思議ですね。

電子書籍が普及して以来、海外暮らしでも日本の本をたくさん読むことができるようになり、大変幸せな時代になりました。本から学ぶことの多さに、改めて気付いた秋のひと時なのでした。

 


手作業でボビンレースをつくる職人さん

 


こちら、本格的にレースづくりに使われ始めたボビンレース機。
これより古いバージョンは上記の暴動によって焼き払われたのかな?など想像膨らみます。

 

 自助論