巡礼路の出発地点の一つでもあるLe Puy en Velay(ル=ピュイ=アン=ヴレー)。
敬虔なカトリック信者でなくてもフランス人なら誰でもその名を知っている街です。
大聖堂にまつられた『黒い聖母』(Vierge Noir)が見どころの一つなのですが、私もかねがね彼女の姿を一目見たい…と願っていました。
というのも、当店で取り扱っているアンティークメダイには各地の聖人・聖母たちの姿が麗しく描かれており、由来を調べたりするうちにその地に足を運びたく待ってくるのです。
この『黒い聖母』は『ル・ピュイの聖母』(Notre Dame du Puy)とも呼ばれており、街の人々に愛され誇りに思われているのです。
またもう一つの街のシンボルは『フランスの聖母』。
これは街中のどこかれでもその姿を拝める場所にどどん!と立っています。
街はこの2人の聖母に見守られ、今も平和であたたかい空気を保っているのですね。
そういうわけで、この巡礼の地ル=ピュイのメダイは黒い聖母とフランスの聖母が裏と表にそれぞれ描かれている事が多いのです。
黒い聖母(左)とフランスの聖母(右)
ル=ピュイはまた、古くからボビンレースの産地として有名です。
そのきっかけとなったのも実は『黒い聖母』なのだそうです。
1407年の黒い聖母の式典に、聖母を飾るための装飾として今までにない美しいものを…と地元の女性によって図案が考案されました。
イザベルと言うこの女性、既存のテクニックやデザインでは聖母を十分に美しく引き立てる事が出来ない!と一生懸命考えたそうです。
聖母を愛する住人たちの心が美しいレースを生み出したのですね。
道理で温かみが伝わってくるわけです。
というわけで、次回はこの街で発展してきたボビンレースについて、少しご紹介できればと思います。
