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刺繍のお勉強 コーネリー刺繍

刺繍はクロスステッチくらいしか経験がないにもかかわらず、毎日素晴らしい手仕事の技を眺めているうちにだんだんと「目年増」になってきました。

今日は自分で刺す方ではなく、ステッチの呼称と用語、違いについてのお勉強。
お題は「コーネリー刺繍」です!

コーネリー刺繍ってどんなの?

大判のカーテンなどでよく使われる刺繍技法のコーネリー刺繍。
華やかな大ぶりのデザインも多く、人気の高い刺繍です。

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薄いコットンローンやチュールなどの生地にステッチされていることが多く、カーテンの場合は光が透けて模様が浮かび上がる幻想的なシルエットを楽しめます。

コーネリー刺繍とは、見た目にはチェーンステッチを連続して模様を描く刺繍です。
チェーンステッチは刺繍の基礎的ステッチですので、家庭科の授業なんかでも刺した覚えのある方も多いのではないでしょうか?

チェーンステッチの刺し方(アンナスさんの動画がわかりやすいのでお借りしました♪)

このように鎖のようなステッチを続けて、花模様などを描いていくわけです。
しかし、大判のカーテンなどの一面に刺繍が入ったようなものの場合こうやって一針一針刺していっては、ものすごく時間がかかる作業になります。

ボーヴェ刺繍とは?

コーネリー刺繍が施された布やレースを見かけたとき、フランスマダムの間でしばしば呼ばれている呼称があります。
それが「Point de Beauvais ポワンドボーヴェ」。

Point de~は、~ステッチの意味ですので、ボーヴェステッチ、ボーヴェ刺繍などと訳せるかと思います。
そして肝心のBeauvaisですが、フランス北部に位置する街の名前です。
この街で良く用いられていた技法という意味で、このような名称がつけられたのだそうです。
パリの販売業者がその素晴らしさを表現するのに「ボーヴェのタペストリーのように素晴らしい」と例えたことからこのように呼ばれるようになったそうです。

このボーヴェ刺繍はリュネビル刺繍の技法のひとつで、メティエと呼ばれる刺繍枠と作業台が一体化したようなものに布地を張り、クロシェというかぎ針状の刺繍針を使ってステッチしていきます。
ビーズやスパンコールをふんだんに使用し、豪華なドレスを手がけるアトリエで使われていた技法でもあり、オートクチュール刺繍とも呼ばれています。

リュネビル刺繍の基本的なステッチがこのチェーンステッチを連続させていくもので、この連続ステッチで模様を描いたものがボーヴェ刺繍です。

動画がわかりやすいので、検索してお借りしてきました。

メティエに張った布の上からクロシェを刺し、布の下で糸を掛けて引き上げる…を繰り返していきます。
簡単そうでなかなか習得するのは難しそう…

ちなみに、以前に銀色アンティークのアドバイザーとして活動を見守ってくださっていた、Etsukoさんはこのリュネビル刺繍のスペシャリストです。
見事な手際でステッチを進めていくEtsukoさんの動画はこちら♬

オートクチュール刺繍*リュネヴィル刺繍*Etsuko -Les belles Broderies-

ボーヴェ刺繍の歴史は古く、18世紀ごろから発展してきたと言われています。
カラフルな花を描いたデザインが多く古いのですが、19世からは一色使いのものも作られ白刺繍の一種に数えられることも珍しくありません。

コーネリー?チェーン?ボーヴェ?違いは何なの?

と、コーネリー刺繍、チェーンステッチ、ボーヴェ刺繍と3つの刺繍の説明をさせてもらいましたが、結局のところこの3つの違いは何なのか?となりますよね。
答えは、結局のところ3つとも同じものです(笑)

同じものと言っても、チェーンステッチとボーヴェ刺繍の刺し方、使う道具は、動画で見ていただくとわかるように全然違います。
普通の刺繍針で一目一目刺すよりはメティエとクロシェを使って刺した方が早くたくさん刺すことが出来ます。

そんな道具の違いが呼び方の違いになっているのですが、コーネリー刺繍はさらにスピードを追求した結果生み出された技法と言えます。
そもそもコーネリー刺繍の「コーネリー」はEmille Cornelyさんという人の名前からきています。
この方は19世紀に、メティエを使ったチェーンステッチをもっと早くできないかと試行錯誤を重ね、専用ミシンを発明した方なんだそうです。

確かに、ボーヴェ刺繍のやり方を見て、ミシンの原理やね!と思った方もいらっしゃるはず。
それを本当にマシーンとして作った結果生まれたのが、コーネリー社のコーネリーマシーンによる、コーネリー刺繍なんだそうです。

しかし、マシーンとは言え当時は足踏み式が主流でしたので、現在のハイテクミシンのようにデザインを読み込んで自動でステッチしてくれるわけではなく、極めて手刺繍に近い形でのミシン刺繍だったようです。
今でもフランスではコーネリーマシーンと言えば通じるくらい、当時はポピュラーなものだったらしく、人気をうかがわせてくれます。
cornely machine à broder(画像)

というわけで、チェーンステッチの連続を「コーネリー刺繍」と呼ぶものだと思っておりましたが、古いものや手仕事のお品の中にはクロシェを使って作業されたボーヴェ刺繍も存在すると思います。
当ショップの商品にも両方の呼び方が混在していますが、基本的にはチェーンステッチだと思っていただければと思います。

知れば知るほど奥の深い、刺繍の世界なのでした。

2018-06-11 | Posted in BLOG, 雑記Comments Closed