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繊細で丈夫、ヴァランシエンヌレース

「アンティークレース」と一言で言っても手法や流行した年代、特徴や価値は様々。
古いレースと上手に付き合うためにも、それぞれの特徴を再確認してまとめておこうと思います。

アンティークレースのお勉強、本日はヴァランシエンヌレース(dentelle Valencienne)についてです。

ヴァランシエンヌレースの基本情報

ヴァランシエンヌレースはボビンレースの一種です。
「Valencienne」はフランスのノール県にある人口約4万人ほどの町で、この地方で多く作られていたのが名前の由来です。
レースの名称はこのように作られた町の名前が付けられることが多いですね。

18世紀ごろが最盛期と言われており、この時代のドレスの多くはこのヴァランシエンヌレースで飾られていました。
またこの時代には女性だけでなく男性もこぞってヴァランシエンヌレースで着飾ったと言われています。

見た目の特徴は?

ヴァランシエンヌレースはボビンレースの中でも極細の糸を使って織られた繊細で軽いチュールレースの一種でもあります。

細めでシンプルなものが多く、これらをフリルにして何段も重ねるような使い方をされていました。
また数は多くありませんが幅広のものやモチーフもあり、こちらは華やかな花モチーフなど女性らしい雰囲気のものをよく見かけます。

同じボビンレースのチュール系であるマリーヌやリールとの違いは、モチーフを強調するアウトラインがあるかないかということ。
ヴァランシエンヌレースはコードなどでモチーフを強調していないのが特徴です。
このため華やかだけどさりげなく上品な表情が生まれるのかもしれません。

チュールレースの一種であるヴァランシエンヌレースですが、チュール部分を構成するレゾーは二種類の特徴があると言われています。

まず18世紀前半頃までは1㎜程度の丸いレゾー(正確には丸みを帯びた六角形)のものが作られていました。
18世紀後半以降は1~5㎜くらいのひし形のような四角いレゾーになりましたが、丸みを帯びたものも時折見かけられます。
レゾーの形と大きさは年代を判別するヒントにはなるかと思います。

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どのように使用されていたの?

ヴァランシエンヌレースはチュールレースの一種であるにもかかわらず、丈夫なのが特徴とされています。
チュールレースは繊細で破れやすいレースというイメージなのですがこのヴァランシエンヌレースは「永遠のヴァランシエンヌ」という言葉があったと言われるほど耐久性が強かったそうです。
そのためか、現在でも古いものなのにダメージの少ない状態のものが多く残っています。

ヴァランシエンヌレースが流行したのは18世紀ですが、フランスでは裁判所に出廷する際にはヴァランシエンヌレースの着用を義務付けられていた時代があったそうです。
男性がレースを身に着けるファッションなど、なかなか想像できませんが「盛装」ばかりではなく「正装」としてレースの着用が義務だったとは、何とも面白い史実ですよね。
ちなみにヴァランシエンヌレースの着用が義務付けられていたのは、夏期間。
冬期間はアランソン(ニードルレース)の着用が必須だったとの事。
なるほどヴァランシエンヌレースの軽やかさは夏服の涼し気なイメージだったのですね。

18世紀には女性のドレスばかりでなく男性のファッションにも欠かせなかったヴァランシエンヌレースですが、その最盛期が過ぎてからも多く使われています。
特に赤ちゃんのボネやよだれかけ、子どもの部屋着などのフリル飾りに多く使われており、丈夫さゆえの実用的な使われ方をしていたのが見てとれます。
細く軽く可愛らしい雰囲気も子供たちの衣装にぴったりだったのかもしれません。

ヴァランシエンヌレースの写真

個人的に好きなレースの一つでもあるヴァランシエンヌレース。
繊細で品のある雰囲気がたまりません。
これまで扱ってきたヴァランシエンヌレースは数知れず、すべての写真を掲載することはできませんが、特に可憐な数点をご覧ください。

レゾーの丸いものもありますよ♪

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華やかなものからシンプルなものまで、多様な表情を持つヴァランシエンヌレース。
繊細な見た目の割には丈夫ですので、お洋服のリメイクなどに便利に使っていただけるお勧めのアンティークレースです。

2018-04-14 | Posted in BLOG, アンティークレースComments Closed