BLOG, アンティークレース

花嫁修行と刺繍とレース

刺繍やレースなど手芸を学ぼうと思った時、どんな方法があるでしょうか?
わかりやすい図解がある本を買ってきたり、教室へ通ったり、最近では動画で詳しく手順を教えてくれたり…

その昔、刺繍やレースの手法は母から娘へと受け継がれておりました。
当時はお嫁入り道具として12枚のキッチンリネンにイニシャル刺繍をして持参するのがしきたりでした。
またベッドリネンにも素晴らしいモノグラム刺繍を施して持参することも。
その名残のお品が今、アンティークの刺繍リネンとして人気が高まっています。

ちなみにこのイニシャルですが、花嫁の旧姓の苗字と、嫁ぐ先の苗字のアルファベットを合わせることが多かったようです。
フランスでも昔の日本のように結婚は家と家との結びつきという考え方が強かったようですね。

de1200a.jpg

中には母から習うだけではもの足らずか、レース職人や刺繍工房などに習いに行くマドモワゼルもいたそうです。
当時の記録にはこの講習費が物々交換で支払われていた記録も残っているようです。
例えば肉屋の娘がレースの手法を習いに行った時「私の娘にボビンレースの技術を教える代わりに、牛肉を一切れ差し上げます」という契約が交わされたりしていました。
当時の風習が垣間見れて面白いエピソードですよね。

また花嫁修業以外にも女性が仕事に就くための手に職として研修を受けることもありました。
若い女性を中心に集団で研修を受けるシステムもあったようです。
しかし、レースや刺繍の職人は目を酷使するため、早くから視力が落ちてしまい、長くは続けられない仕事と言われていました。

優雅に見えて厳しい仕事でもあるレース刺繍の職人ですが、夫を早くになくした未亡人にとっては人気のある仕事だっととも言われています。
先ほどの肉屋の娘が見習いに行ったレース職人のマダムもやはり未亡人だったそうです。
楽な仕事ではないとはいえ、手に職があるといつの時代も強く生きていけるのですね…

 

IMG_6730.JPG

 

ボビンレースで有名な le puy の街では、今でも当時の手法そのままに見せてくれる人々がいます。
細い路地でからからと心地の良い音を立ててボビンレースを織る光景が見られます。
リズミカルなボビンの動きは「ボビンのダンス」とも呼ばれているそうで、一度は手ほどきを受けてみたいものだと密かにあこがれております。
花嫁修業には少々、いや随分と遅すぎる手習いではありますが…

IMG_6647.JPG

お嫁に行く日を待ちわびて、一針一針丁寧に施された刺繍や、ボビンを躍らせて織り成したレースで飾られたリネンたち…
今、そのような幸せ名残が感じられるアンティークリネンが人気なのも、なんとなくわかるような気がします。

 

2018-03-11 | Posted in BLOG, アンティークレースComments Closed